作業環境測定結果の活用状況に関する実態調査
総 括 | 埼玉産業保健推進センター | 所 長 | 伊藤 勇 |
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共同研究者 | 埼玉産業保健推進センター | 相談員 | 生駒 賢治 |
植田 康久 | |||
府川 栄二 | |||
藤田 寿久 | |||
副所長 | 蓜島 明 |
総 括 | 埼玉産業保健推進センター 所 長 伊藤 勇 |
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共同研究者 | 埼玉産業保健推進センター 相談員
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I. はじめに
作業環境測定は作業環境改善の入り口として定着してきたが、作業環境測定の重要なところは、測定結果を3管理に活用することである。平成8年2月に作業環境測定報告書モデル様式が改定され、衛生委員会、産業医などの意見、作業環境改善措置の内容が記載されることとなり、作業環境測定結果の活用に重要性が増してきた。
そこで、県下事業場における作業環境測定結果のより一層の充実に資するべく、事業場の実態を把握し、今後の測定結果の活用の推進方策を検討することとした。
II. 調査対象など
1. 調査は県内の労働者50名以上の事業場と有害業務が有するとされる労働者50名以下の事業場を対象に無作為抽出した約1800事業場に対して協力依頼し、協力が得られた内の400事業場を有効回答数とした。有効回答事業場の規模、業種は全般にわたっていた。
2. 主たる調査内容は、労働衛生管理体制、作業環境測定の実施状況、作業環境測定の活用状況等の実態が確認できるものとし、回答そのままを規模別・業種別に集計、分析を行った。一部についてはクロスチェックも行った。
III. 結果と考察
1. 労働衛生管理体制に関しては、産業医、衛生管理者の選任状況及び労働衛生委員会の設置・開催状況は共に高率を示し定着していると言えた。
しかし、産業医の職場巡視の実施状況は十分とは言えず、また、労働衛生委員会の委員に産業医がなっている事業場は50%弱で、作業環境測定士については社内資格者がいる事業場は20%弱ということもあるが委員となっている事業場は10%強であった。
今後の課題として産業医、産業環境測定士を労働衛生委員会の委員にされることと、作業環境測定結果を軸とした作業環境管理を展開するためには事業場所属の測定士の養成が不可欠とみられる。
2. 作業環境測定の実施状況としては、91.4%が実施しているとされ、測定の実施が定着してきているのが覗われた。しかし、測定実施事業場のうち"全ての作業場に対し実施している"が63.4%に対して、"一部の作業場に対し実施"が36.6%となっており、今後作業環境管理を完全なものにもっていくためには、この実施率を向上させることが重要である。
3. 作業環境管理と健康管理のリンクは重要で、このことを調査したが、作業環境測定と健康診断の実施時期に配慮されている事業場は20%にすぎず、また、健康診断での有所見者が出た場合に臨時の作業環境測定を実施した事業場は9%であった。
今後、このことの好事例を紹介するなどの情報等の提供が必要になってくるとみられる。
4. 作業環境測定報告書の活用についてみると、活用の基礎的条件である社内の測定結果報告書の回覧等をみると、社内の必要部署への回覧、労働衛生委員会での報告等、社内の周知が定着しつつあり、評価、検討を行う部署もライン、スタッフの適切な部署で処理されていることがわかった。しかし、測定報告書の安全衛生委員会での県東は68%で、委員会での検討をいかにするかの“とまどい”がみられる。
5. 報告書の評価において注目する点としては、“単位作業場等の設置理由等”をあげた回答が多く、測定報告書の作業環境管理の情報源として定着してきていることが推定できたが、“管理区分の欄のみ”との回答もかなりあり、作業環境確認のための報告書の評価を正しく行っていただくための啓発が、今後の課題になるとみられる。
6. 作業環境測定報告書の産業医への回覧と報告に基づく指導状況は図1のとおりで、“指導を受けていない”、“秘密事項だから見せていない”、がかなり多く、また、測定結果と健康診断結果の関連の検討については問題がなければ検討しないようであり、検討した場合も産業医の関与は40%で、作業環境測定報告書などを軸にした事業場と産業医の係りが今後の検討課題となり、事業場側からの積極的な産業医への働きかけ、産業医側からの作業環境管理への積極的な関与が望まれるところである。
IV. 結び
全般的にみれば、作業県境測定の実施体制、内容の充実、活用の体制が定着してきていることがアンケート結果から推察されるが、今後の作業環境測定結果活用の進展には、健康管理とのリンク、特に産業医の測定報告書を活用した作業環境管理への係りの重要性が増大してくるものとみられ、今後の推進に当たってさらに啓発、活用例の情報提供等が必要であると考える。