腰痛予防対策の取組み状況に関する実態調査
総 括 | 埼玉産業保健推進センター | 所 長 | 伊藤 勇 |
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共同研究者 | 埼玉産業保健推進センター | 相談員 | 石井 照雄 |
松永 千秋 | |||
沖野 哲郎 | |||
埼玉産業保健推進センター | 副所長 | 蓜島 明 |
総 括 | 埼玉産業保健推進センター 所 長 伊藤 勇 |
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共同研究者 | 埼玉産業保健推進センター 相談員
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I. はじめに
埼玉県内の腰痛の発生は依然として多発傾向にあり、事業場の腰痛予防対策の徹底を図る上では、事業場における腰痛予防対策の取組み状況を把握する必要がある。
そこで、県内事業場における腰痛予防対策の取組み内容及び取組み結果を確認(評価)し、今後における腰痛予防対策の促進に資する目的をもって行ったものである。
II. 対象及び方法等
1. 腰痛は業種にかたよることなく発生していることから、全業種の労働者50人以上の事業場を対象として無作為抽出した1000社(有効配布数914)にアンケート調査票を送付し、協力(返送率は35.5%)が得られたうちの有効回答数316社について分析したものである。
2. 主たる設問事項は、
【1】腰痛予防対策の理解状況
【2】腰痛予防対策への取組み状況
【3】取組んでいる事業場の取組み内容と取組み結果
【4】腰痛の発生状況とした。
III. 結果と考察
1.腰痛予防対策の取組み状況
1) 腰痛予防対策に取組んでいる事業場は149社(回答事業場比47.2%)で、業種別には製造業117社(同50.2%)、建設業6社(同40%)、交通運輸業14社(同66.7%)、その他11社(同23%)となっており、規模別では100人未満が36社(同35.6%)、100~299人は65社(同50%)、300~499社は22社(同56.4%)、500~999人は14社(同46.7%)、1000人以上は12社(同75%)であった。
2) 腰痛予防対策指針の理解(覚知)については、新指針を理解している事業場は51.7%、旧指針を理解していた事業場は35.8%で、旧指針より新指針についての理解が高く、また、新指針の情報入手先は監督署や協会等からが65%で、指針の覚知時期は、40.2%となっていた。
3) 指針の理解別腰痛対策の取組みについては(図1)の通りであった。
4) 腰痛予防対策を取組み始めた理由は、腰痛の発生があったからとするものが64.4%、予防対策は重要であるからが33.6%で、指針が示されたからは2%となっていた。しかし、近年腰痛が発生している30.6%の事業場について、取組まれていない実態もある。
5) 取組んでいる内容は、(図2)の通りであったが、取組み内容は指針と事業場独自の組み合わせによるものが多く(78.6%)、取組んでいる項目の上位は、作業方法の改善(実施事業場の70.5%)、自動化等(同62.4%)、予防体操(同76.9%)となっていた。
以上から腰痛の発症をきっかけに腰痛予防に取組んだ事業場が多く、指針の理解度と規模が大きくなる程取組み状況は進み、事業場では腰痛予防に直接、即効型の項目に力を入れて取組んでいることがうかがええた。また、情報の入手先が監督署・協会等からが多いことから今後の腰痛対策を推進する上での行政、関係機関・団体の果たす役割は重要であると思慮される。
2. 取組み結果の状況
1) 腰痛予防対策で効果のあった内容と評価しているものの上位としては、作業方法の改善(実施事業場の51.7%)、自動化等(同51%)、予防体操(同33.6%)と事業場の取組み率に並行していた。
2) 取組み結果の評価としては、災害面からは(図3)の通りとされ、予防対策に取組んだ事業場のうち92.5%は腰痛の発症が皆無又は減少したと評価し、腰痛予防対策を取組むに至った契機を「腰痛の発生」としている96事業場のうち57事業場(59.4%)では、平成6,7年において不休を含む腰痛の発症は皆無となっていた。また、作業効率面で効率が上がったとするものは50.3%となっているが、それ程でもないも49.7%でほぼ同数の評価であった。
このように、腰痛予防対策に取組んでいる事業場の取組み結果においては、腰痛予防が図られたと評価しており、腰痛予防対策の重要性と実施効果のあることが判った。
3. 取組んでいない事業場の今後の対応
取組んでいないとされた167事業場の今後の動向については、近々取組むこととしている事業場が少なく、これら事業場でも腰痛の発症が予測される作業を有しているものと思慮され、今後の取組みへの理解と意識を高める必要がある。